目次
序論——圧縮する知性と「我ら」の座標系
§1 「我ら」とは何か——一人の皇帝から始める
§2 凝集の美しさと座標系の妥当性——別々の問い
§3 構造記述の極限と一人称の引受——ウナムーノ
§4 宇宙論的中立性——すべてのMANESは等価である
§5 「我ら」の二つの側面——実存と操作
§6 引受の不等式——「操作能力的我ら」 ≤ 「実存的我ら」
§7 不等式破綻の三つの様態——空間・時間・実存
§8 因果はどの時間に返るか
§9 文明相と因果構造の選好
§10 知性は圧縮する存在である
§11 近現代科学が暴露したもの——操作可能性の出現
§12 本書の方法と構成
第Ⅰ部 MANESを支える構造
第1章 世界を切り取る幾何学——R空間と射影
§1-1 切り取られる前の世界
§1-2 球を平面に写す
§1-3 高精度保存域、低精度保持域、脱落域
§1-4 他の射影と出会う
§1-5 最小モデルを掴んだ——次元の追加はこの先で行う
第2章 圧縮から創発する世界——情報保持と三条件
§2-1 動いている系——同一性は保存ではなく再生産である
§2-2 動いている系の条件——Flux・Stock と HZ
§2-3 動的安定化の三条件——LEFFLA・HIAM・フィードバック時間
§2-4 動的視界の中での圧縮——内と外を切り分ける構造
§2-5 揺らがされながら動く——多体系のなかの動いている系
§2-6 階層を貫いたときに見えてくるもの
§2-7 問いとしての MANES——文明の選別構造の正体とは
第3章 LEFFLAとLOT——圧縮の二面と頓死の構造
§3-1 系は他の系の中にいる——接続可能性の三モード
§3-2 スナップショットで切る——LEFFLA と LOT の対定義
§3-3 圧縮の二面の不可分性——中核命題-1
§3-4 寿命と頓死——頓死の三経路
§3-5 「操作能力的我ら」と「実存的我ら」の乖離
§3-6 広い引受は単独では保てない
§3-7 LEFFLA なき即時確定と LOT direct
第4章 数学の巨大な視界と盲点——バインドなき記述体系の射程と限界
§4-1 数学的記述の大きな力
§4-2 数学の大きな力の先にある限界
§4-3 部分的完成モデル——関数形特定とパラメータ未確定
§4-4 幾何学——巨大な視界と盲点の一事例
§4-5 自己回帰性——数学の盲点と本書との対峙
第5章 ゲーム理論の強さと限界——バインドによる盤面
§5-1 無限後退をしない枠組み——バインドが勾配を立ち上げる
§5-2 勾配の代価——バインドの外は勾配ゼロになる
§5-3 バインドしても定まらない——複数均衡と焦点
§5-4 バインドの内訳——戦略空間・利得関数・プレイヤー
§5-5 盤の手前——保証の届かない無限後退
§5-6 第Ⅰ部の閉じ——出揃った両極と、線を保つ何か
第Ⅱ部 MANESの形成と維持
第6章 MANESの三層——座標系・報酬関数・共存条件
§6-1 ヒトに依拠しないMANES——文明レイヤーを成立させる四条件と思考実験
§6-2 MANESの第一層:座標系——何を前景化し、何を認知地平の外へ押し出すか
§6-3 MANESの第二層:報酬関数——何が得で何が損か
§6-4 MANESの第三層:共存条件(ES)——「我ら」の範囲
§6-5 MANESの三層の揺れ——単位性・流動性差・層間ずれと異なる世界
§6-6 揺れ幅が縮退するとき——文明レイヤーの下限
第7章 ホモ・デウスとホモ・マネス——操作と実存の独立変動
§7-1 なぜ人間文明はここまで巨大になることができたのか
§7-2 ハラリの像——虚構の共有と構築型の位相転換
§7-3 二つの「我ら」の独立変動——ハラリが明示しないもの
§7-4 自己定義の主題——ホモ・〇〇とホモ・デウス
§7-5 ホモ・マネス——また別の頂点
§7-6 媒介接続が運ぶもの・運ばないもの
第8章 神話的MANES——境界の曖昧さの中に立つ
§8-1 境界が引けないということ
§8-2 「信じる」という素朴な問い
§8-3 神話と呼ばれてきたもの
§8-4 二つの曖昧さの重奏
§8-5 神話的MANES
第9章 知識の重さ——累積・誤差・解体不全
§9-1 外部知識ストックの臨界
§9-2 整合化計算と階層化
§9-3 知識ストックの三相モデルと構造的汚染
§9-4 知識ストックの特異性——健全な維持の構造条件と困難性
第10章 社会的既知感への信認——SFOKと権威の固着
§10-1 Feeling of Knowing の個人的基盤
§10-2 社会的拡張としての SFOK
§10-3 SFOK による座標系の委譲——「元老院に従う」構造
§10-4 制度化された座標系——批判コストの圧縮と権威の固着
§10-5 SFOK 崩壊の構造的帰結
第11章 未来への希望——前借りと未来世代への転嫁
§11-1 連なりの未来側
§11-2 未来への希望という装置
§11-3 前借りの構造
§11-4 失敗モード——未来世代への転嫁
§11-5 第Ⅱ部の閉じ
第Ⅲ部 MANESの終結と継承
第12章 HIAMという選択的終結——そのうちのHIA
§12-1 IA から HIA へ——文明レイヤーにおける H(恒常的)の不在
§12-2 HIA 不全の自己増幅循環
§12-3 HIA の射程と限界——禍根と過剰 LOT
§12-4 禍根起因コストとジレンマの機構的内訳
第13章 Mourning(喪)——HIAMのM
§13-1 HIA から HIAM へ——M(喪)の追加
§13-2 M 不在の連鎖的帰結
§13-3 補償と承認の構造的差異
§13-4 LEFFLA経由の段階的葬送
第14章 残存と継承の違い——HIAMを経て残るもの、残すもの
§14-1 残存と継承——素朴な問いから
§14-2 継承を構造化する——残存から HZ 動態へ
§14-3 異なる射影法に開かれて残る——LOT が次世代の LEFFLA となる構造と、伝達の二つの作法
§14-4 継承を担う主体——HIAM 後の引き受け
§14-5 継承可能な MANES の五条件
§14-6 装置を支えつづけることの重み——大きくなるほど、支えにくい
第Ⅳ部 引受の不等式の不安定さ
第15章 「我ら」の境界と因果の創発——非対称性因果とは
§15-1 宇宙論的な地——因果は応報である
§15-2 選別が世界を因と果の二つに分ける——非対称性因果の立ち上がり
§15-3 入れ子構造と可変選別
§15-4 応報から学習へ
§15-5 選別構造を動かす——学習の次
§15-6 引受——枠を定めて辻褄を合わせる
§15-7 非対称性因果の四類型——結果はいつ・誰に返るか
§15-8 引受の不等式と非対称性因果の四類型——操作実存独立変動による統合
第16章 不等式の動性——FOEモデルと三つの文明相
§16-1 動性の場——三つの多角形が重なる座標系
§16-2 動性の駆動——F・O・Eは独立して動く
§16-3 重心——主体を束ねる意味の焦点と、その座
§16-4 重心の係留——放っておけば、外れる
§16-5 乖離——重心が FOE から滑る
§16-6 三つの文明相——文明の出力・コスト・リスクへの態度の三類型
§16-7 頓死の幾何——競争環境のもとの拡張加速相
§16-8 循環耐久相の維持と第一の主張の接地
第17章 文明の出力の幾何——漏斗モデル
§17-1 大きな出力はどこから来るか
§17-2 文明の出力を立てる、保つ
§17-3 漏斗モデル——FOEモデルの O 軸を立体化する
§17-4 出力の幾何——殻の容積と折り目
第18章 参照されるから、存在する——多段圧縮と参照系
§18-1 F とは何か
§18-2 多段圧縮構造の階梯——λ₀ から λ₄ へ
§18-3 参照系の三つの反転
§18-4 深さの極限——自己言及相
第19章 どの規模まで、保てるか——殻に走る因果と構造条件
§19-1 作動圏と漏斗型空間の差分——殻に走る因果
§19-2 O の側からは自己増幅循環を停められない
§19-3 漏斗モデルにFとEを重ねたときに何が見えるか
§19-4 規模の問いへの正面回答——現在規模と将来規模の引き離し
§19-5 構造記述の一巡と、深層で残る問い
第20章 空間的不安定——操作能力の膨張と「我ら」の縮退
§20-1 遠くまで届く手——空間に伸びた文明の出力と、その離陸
§20-2 追いつかせる仕事——空間に広がった「我ら」を保つ
§20-3 送り出した先と、返ってくるもの——表裏一体と非線形の応報
§20-4 コストは外へ送り出される
第21章 時間的不安定——未来世代への前借りと回収不能
§21-1 時をまたぐ手——前借りという飛躍と、その離陸
§21-2 連なりを保つ仕事——過去から受け取り、未来へ渡す
§21-3 返ってくる先がいない——前借りの累積と非線形の回収
§21-4 抗えない相手と自系の延長——時間軸の送り出しの構造的特異性
§21-5 過去を切れば未来も切れる
第22章 実存的不安定——崩れる聖域と操作できる心
§22-1 境界の内側へ——転回と崩れる聖域
§22-2 最初の三つの聖域の崩壊——身体・内面・社会
§22-3 四つめの聖域と無垢の知性——設計された内面
§22-4 暴かれた世界に立つ仕方——虚無・教条・支配の意志
§22-5 三軸の収束——単一の運動の三投影と、降下の順序の意味
§22-6 構造記述の到達点、そして、なぜ引き受けるのか
第Ⅴ部 百億人の「我ら」へ 千年後の「我ら」へ
第Ⅴ部の序——「我らはここにいる」
第23章 「我ら」を引き受けるとは何か——好奇心と苦悩の同伴
§23-1 「我ら」はいま、何を手にしているか——削られてきた地形ごと引き受ける
§23-2 外から測る、内から負う——「仕事→労働」とそのひろがり
§23-3 なぜ「引き受け」が問いになるのか——小さな「我ら」と大きな「我ら」
§23-4 見ることの段階——被覆の二方向と、好奇心と苦悩の同伴
§23-5 四つの立場——どこに錨を下ろすか
§23-6 苦悩はどこから来るか——先見と後知
§23-7 二重に払う——引き受けの労働と流れ込むコスト
第24章 どこまでが「我ら」か——引受の不等式へのバインド
§24-1 保てる範囲の底と、バインドの落ちる深さ
§24-2 文明の痩せ尾根の地形——二つの構造条件と、その上の四つの位置
§24-3 移れるか、どこへ移るか——軌道と闘争的移行期
§24-4 λ₀ 維持の三戦略——意志的純化形と方舟
§24-5 それでも手を閉じない位置——Hineni
§24-6 ひと続きの条件と、二つの応答への手渡し
第25章 F に直接触れて——それぞれの孤独を生きて、ともに孤独に生きる
§25-1 F に直接触れるとは何か——「我ら」と分かち合えない孤独な営み
§25-2 制度は接地を代替できるか——縮退圧力と候補の不成立
§25-3 分布だけが接地条件を満たす
§25-4 なぜ讃えないのか——「道徳的共同体」という最後の縮退候補
§25-5 索引されない手——落とさない・吸い上げない
§25-6 揺らぎの堅持——自分の F 接地を手放さない
§25-7 不可知への応答——相手の F 接地を奪わない・組み込む
§25-8 手放した手応えは、組み込めない——無垢の知性という試金石
第26章 決して届かない領域、それでも——MAN-I-ESというMANES
§26-1 「多元主義」の Mourning——承認・分離・段階的解体
§26-2 いま働く縮退圧力——単一実装への引力
§26-3 なぜ畳めないのか——被覆条件の機構
§26-4 MAN-I-ES と歴史的先例なき課題——相互理解不能者間の「我ら」観念
§26-5 失敗の星座——頓死と乖離、対称的に反対の二極
§26-6 自己回帰と受容——本書自身への折り返し
第27章 Ω の縁からの呼びかけに応える——対称性志向の主観的極限と Hineni
§27-1 引き受ける者の時間——二つの無時間のあいだ
§27-2 抱える者の仕事——閉じない帳簿
§27-3 向かい、行き、進むという作動——対称性志向の主観的極限
§27-4 Ω の縁の前で——立ち竦み・聞かない・所有
§27-5 Hineni の引き渡し——どの級位でも、一人称で
結論——告白、そして叫び
§1 中核命題群の要約
§2 序論は、「我らとは何か」という問いから始まった
§3 この到達は、本書を本書自身の外へ連れ出しはしない
§4 そして、この診断の先に、一つの告白が続く
§5 炎の記憶——筆者の家族史
§6 読む者へ渡されるのは、構造の輪郭だけではない
§7 本書はここで終わる
§8 それにしてもなぜ、私たちの宇宙はこれほど美しいのだろう